【2006年9月号】ランドール博士は、なーんと既に数学的に5次元を証明してしまった!

2006年9月号

ランドール博士は、なーんと既に
数学的に5次元を証明してしまった!


 わたしはテレビっ子であって、家にモノクロテレビが初めて来た小学生だかのとき、一番最初に観た番組は、アメリカのテレビ番組「ライフル・マン」だった。電気技師だった父は、ひとまず部屋でアンテナを手で持ったまま見せてくれた。そんなテレビ世代のわたしは今でもテレビをよく観る。最近、興奮しまくって観たのが、リサ・ランドール博士のインタビューだ。NHKも、見逃した人々のリクエストが多いらしく、何度も再放送をしている。確かにこれは大変なことで、カウチで寝ころがってポテトチップ喰ってる場合じゃない、ともいえる。博士は43歳の女性理論物理学者(理論物理学は数学的に物理法則を証明する学問)。ヒモ理論もアワ理論も超えて、彼女は5次元の存在を数学的に矛盾なく証明してしまったのだ。
いやー、これにはまいった。変な感じ方かもしれないが、「なーんだ、もう証明されちゃっていたのお? ほんなら、もっと早く言ってよお・・・」とゆーような。さまざまなビジョナリーたちが、さまざまなリソースから「たぶん、多次元なんだよね、この世界は。そうじゃないと、なんか世界が矛盾しちゃうもんね」と思っていたその想いは、この、若くて美人の物理学者に理論的解として既に解かれていた。博士のこの数式を踏み台にして、これから、さまざまな世界のあらたな法則、あたらな認識が次々と裸にされていくのは間違いない。「ほんのりと、そうじゃないかなあー、と思ってた」ことが徐々に、しかし確実に、事実になっていくだろう。
陽子をジュネーブの地下の何十キロのサーキット上でぶつけ合って、この次元からいなくなってしまう粒子があれば、実験物理学でも5次元は証明される。5次元の証明はしかし、ここを突破口として、今後、等比級数的に世界の認識を変えていく、ほんの序章にすぎない。ビッグバンの認識が変わり(ビッグバンは世界のはじまりではなかった、となるか)、人生の認識が変わり、生きることの意味が変わり、死の概念が変わり、すべての言葉の定義が変わり、「わたし」という認識が変わり、意識と肉体の関係性が変わり、世界そのものが変わっていくだろう。今までの一般常識からすれば、新しい定義では、かなり常識はずれな世界観になることは充分予測される。アインシュタインの革命は、別の反革命によって取って代わられる。三島由紀夫が言っていた。世界は革命に対する反革命、そのまた反革命と、常に反転して進展していく、と。
いままで「そんなこと言って、おまえバカじゃないのお?」と言っていたおじさんが、「うへえ、困っちゃったなあ・・・」というような世界がくるだろう。世界観の倒立。重力をキャンセルして飛ぶ乗り物があったっておかしくない、本格的な天動説ショック。人間はあまりに斬新なものを見ると、理解できず頭がボーッとしたりする。きっとそういう種類のショックに違いない。若い皆さんは、このスリリングな推移をこれからたっぷり楽しめるて、うらやましい。
それでランドール博士である。彼女はボストンを流れるチャールズ川の水の流れを見て、5次元の確信を得たと語っている。川は「交通」である。人間が川の流れや、鉄道や、道など、水星的な「交通」に関わってインスピレーションを得るのは面白い。そして博士の個人史をさかのぼると、小学生のとき読んだ「不思議の国のアリス」に行き当たるという。彼女が不思議の国のアリスを読んだ時点で既に、将来の5次元の証明が彼女のなかに「畳み込まれていた」のだ。良質な芸術が科学の最先端にインスピレーションを与える。芸術も、これからもっともっとフォーカスされるだろう。博士の理論は米国の書籍「ワープト・パッセージ」(ひんまがった道。他社から邦訳が出るようだ)に詳しい。それによると、私たちは、広大な5次元のなかに浮かんだシャワーカーテンのような平面(これが3次元)の上にへばりついた水滴のように存在する。そしてその水滴は決して、カーテンをつつむ広大な5次元の世界に出て行くことはできない。驚くべきことに、その5次元に浮かぶ3次元の膜(シャワーカーテン)は1枚ではなく、たくさんあるという。つまり並行する3次元宇宙がたくさんあるのだ。そこでは別のあなたが、別の性格で、別の屋敷に住み、別の言語を話し、別の感情を体験している(のかもしれない)。
ここで面白いのは、その5次元のなかに浮かぶ3次元の膜と5次元を結んでコミュニケーションしているのは、「重力」であるらしい、ということだ。そうかあ、やっぱり重力、おまえだったのかあ、と思った。5つの力の統合のときにも、君だけが矛盾してたからなあ・・・。
私たちが誕生したその瞬間に、地球という重力にしばりつけられ、それ以前の体験や感情をすっかり忘れてしまう、というこのすばらしくよくできたシステムもまた、「重力」によって成り立っている(よーな気がする)。私たちを地球という学校にしばりつけているのは、重力である。その重力が唯一、5次元との交通を担っている、というところがメタファーとして、シンボリックで面白い。イマジネーションは常に新しい科学的事実の触媒として機能する。
  喜多見 龍一


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