人は幸せだから笑うのではない。笑うから幸せになるのだ!

こうなったら、笑うしかない…。

2,090円 (税込/本体価格 1,900円) 絶版
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ISBNコード 978-4-89976-047-4
ページ 336
著者 リンダ・リッチマン
訳者 白川貴子
発行日 2002-12-20

誰が読んでも満足できる一冊。読み終わると、絶対元気になってしまいます。最初の10ページを読んだら、もう食事もせずに最後まで読んでしまうでしょう。 著者の体験したことだけを書いていますので、完全なノンフィクションなんですが、良質な小説を読んでいるような感覚があります。
著者は映画「オースティン・パワーズ」の人気コメディアン、マイク・マイヤーズの義理の母。母親からの影響で、広場恐怖症(外に出ると心臓が飛び出しそう になるパニック障害のひとつ)となり、人生の前半は17年間家から出られなかった、という大変な苦労をした人ですが、人生はさらに、これでもかといわんば かりに29歳の息子を突然の事故で亡くす、という試練を畳みかけてくる。この辺がこの本の1/3くらいのところですが、著者の気も狂わんばかりの、行き場 のない、計り知れない深さの悲しみが正直にリアリズムで描かれていて、ページを繰り返しながら何度でも泣けます。
しかしこのアメリカの肝っ玉母さん的なリンダ・リッチマンは、とことん極限まで嘆き悲しむことで、手のひらが返る瞬間(著者によると「自己憐憫の儀式」)という方法を自然に編み出し、実践することで、ギリギリ人生のバランスをとっていきます。
セラピーと自分で編み出した自己憐憫の儀式などで徐々に外にも出られるようになったリンダ。後半は打って変わって、そんな彼女がすさまじく成功していく過 程が語られるわけですが、これが並の成功ではない。しかし彼女は、日本円で数億というテレビ・レギュラーの仕事を断って、自分の人生の微妙なバランスを保 ちます。
この本は、つらいときは笑いましょう的な「考え方」を語った本ではなく、ヒリヒリするようなドン底の中で「もう笑うことしか残されていなかった」一人の母親の話です。随所にあるドン底のユーモアがすごい。こういうとき人間は、笑うしかない……。