集中できない、衝動的な行動が多い、ついミスを繰り返す……。 あなたの悩みの原因は、発達アンバランス「おとなのADHD」かもしれません!

知って良かった、大人のADHD【新書】

1,320円 (税込/本体価格 1,200円) 増刷・重版未定
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ISBNコード 978-4-89976-434-2
ページ 384
判型 新書
著者 星野仁彦
発行日 2015-05-25

注意欠陥・多動性障害と呼ばれるADHD。学校、家庭、その他あらゆる日常生活に支障を来す発達障害の代表的な症例です。成長とともに衝動性や不注意は抑制できるようになるため、かつては児童期特有のものとされて来ましたが、継続した調査、研究により、成人後もADHDを継続する人がいることがわかりました。仕事や人間関係がうまくいかない人は、その原因がADHDである可能性も考えられるのです。

ADHDは「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの症状からなり、その特徴は主に以下のようになっています。
●多動性:そわそわして落ち着かない/会話に夢中になり、用事を忘れる/自分のことばかりしゃべる
●衝動性:大事なことを独断で決める/衝動買いをする/ささいなことで相手を叱責する
●不注意:締切に間に合わない/ミスが多い/片付け・金銭管理ができない/約束を忘れる/空気が読めず、話を聞かない

ADHDには、睡眠障害や学習障害などの合併症があり、状況を一層深刻にするという側面もあります。また、ADHDを放置しておくと、“うつ病”や“不安障害”“アルコール薬物などへの依存”といった二次的情緒障害へ発展する怖れもあります。

本書は、ADHD臨床医の第一人者であり、数々のベストセラーを著作に持つ星野仁彦福島学院大学教授の書き下ろし。自身がADHD者でもあることも明かしており、そのことが、この本に単なる知識を越えた深い実践的解説をもたらしています。合併症、二次的情緒障害についても取り上げ、その仕組みと対処が明確に理解できる内容となっています。当事者ならでは行き届いた目線と臨床家ならではの実践情報。おとなのADHDに関する本の中でも、知識と実践法がもっとも充実した本と言えるでしょう。もし、集中できない、衝動的な行動が多い、ついミスを繰り返す……ということでお悩みの方はぜひご一読を。

(注:本書は2004年発行の「知って良かった、アダルトADHD」の新書版です)

<目次>
第一章  大人のADHD概念の登場
     第一節 子どもだけのハンディではないADHD
     第二節 発達のステージによって変わるADHDの状態像

第二章  歴史上有名なADHD
     ルードウィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン/ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
     パブロ・ルイズ・ピカソ/ウィンストン・チャーチル
     トーマス・クルーズ・アポーザー/中坊公平

第三章  大人のADHDの事例
     大学の授業・実習についていけない人/仕事のミスと事故を繰り返す人
     家事ができず、夫と子どもを責める人/劣等感が強く、落ち込みやすい人
     対人関係で孤立し、転職が多い人/あきっぽく、怠け癖と浪費癖がある人
     キレやすく、暴力を振るう人/癖が多く、対人緊張の強い人
     自己評価が低く、過食と浪費癖がある人
     計画性がなく、時間にルーズで約束を守れない人
     夜眠れず、昼間居眠り・大量喫煙する人/アルコール・タバコとセックスに溺れる人

第四章  大人のADHDの症例と自己診断
     第一節 基本的症状
     第二節 その他の副次的症状
     第三節 女性のADHDの特徴 第四節 アダルトADHDの自己チェック法

第五章  大人のADHDによくみられる合併症
     第一節 ADHDはなぜ合併症(共存症)を起こしやすいか?
     第二節 気分障害(うつ病)
     第三節 双極性障害(躁うつ病)
     第四節 不安障害(神経症)
     第五節 さまざまな依存症・嗜癖行動
     第六節 行為障害(非行)と反社会的行動(犯罪)
     第七節 人格障害
     第八節 チック症・トゥレット症候群
     第九節 学習障害(LD)

第六章  ADHDはどのような原因によって起こるか
     第一節 解明されつつあるADHDの原因
     第二節 脳の機能的・器質的障害を示唆した歴史的背景
     第三節 周産期(胎生期・出生時・新生児期)異常の研究
     第四節 食物アレルギーと環境ホルモンの影響
     第五節 遺伝学的研究
     第六節 生化学的研究(神経伝達物質)
     第七節 神経生理学(脳波学)的研究
     第八節 脳の放射線医学的研究
     第九節 いくつかの病因仮説

第七章  思春期に二次障害を示しやすい理由
     第一節 二次的情緒障害はなぜ起こるのか?
     第二節 二次的情緒障害を示したADHDの実例
第八章  こうすればADHDが予防できる
     第一節 ADHD児の家族がとるべき対応
     第二節 A君とB君の教師へのアドバイス
     第三節 ADHD児のソーシャル・スキルス・トレーニング (SST・社会生活技能訓練)

第九章  ADHDの周囲の人へのアドバイス
     第一節 パートナー・家族へのアドバイス
     第二節 職場の上司・同僚へのアドバイス
第十章  ADHD者へのアドバイス
第十一章   大人のADHDの心理カウンセリングと薬物療法
     第一節 心理カウンセリングと教育
     第二節 薬物療法
第十二章 知って良かった大人のADHD—精神科医のADHD体験記