【2013年11月号】「自由」という名の可能性。それは、タオだった。

人生は謎で満ちている。この世界に生まれてきたからには、そのうちのいくつかの謎は解いてみたい。世界の成り立ち、命、意識と肉体、感情、死、次元、時間と空間・・・。数え上げれば、分からないことばかりである。

時間と空間や宇宙の成り立ちや次元や意識については、来春、理論量子物理学の立場からこれを解きあかしている米国の学者(ちょっとスピ)を日本に招聘、インタビューして本のカタチにして皆さんにもお読みいただこうと考えている。

私たちの「意識」の謎解きは一番身近で、日常に即、使える。「意識工学」(意識を使って現実にインパクトを与える方法論)は、さまざま語られているが、そのなかで、最近「自由」というキーワードを来日している複数の先生から聞くことが多くなった。ロジャー(ハンソン)やロバート(シャインフェルド)などだ。

「自由」という言葉のなかには、普通の語感としては、英語ではfree from なになに、というくらいだから、自分の自由を制限するものから解放されるというニュアンスが一般的だ。しかし「自由」という概念は幅広く、次のような意味も含まれる。

1)本当に自由であるならば、自分がこれから成しとげたいことを、なんであれ自由に実現できるという、いわば「実現の自由」。

2)もうひとつの自由は「とらわれない自由」。プラス方向でこの自由を使えば、なにが起きても幸せでいることができる(ロバートの新刊"なにが起きても、「幸せ」でいる法"は、まさにこのことを説いた本)。マイナス環境からの脱出に使うなら、「自分のなかの怖れやネガ要素にとらわれず、自由になる」ことができる。

1)はロジャーが教えていることに近い。ロジャーはスピリットとの出会いからある時、「自分は自由なんだ」ということに気づいた。いまの自分は、怖れを持つことが少なくなったので、自分のまわりの現実を自分で自由にクリエイトできる、と。

自分のまわりの今の状況を「判断」(「良い・悪い」「正しい・間違っている」など)しなくなるのが「自由」の第一ステップ。たとえば「悪い」という判断から「良い」という判断へ、外界や自分を動かそうとすると(普通、私たちはこれをしているのだが)、かなり難しい。そうではなくて、彼が言うnone duality(二元性がなくなる状態)になれば、私たちが「間違い」「悪い」という判断をしたときに自動的に惹起される「困りものの感情」も起きなくなり、独特の静かなマインドの状態が訪れる。

例えば、「悪い」ことに対して「怖れ」が自動的に湧いてくると、怖れから逆にもう一度「悪いこと」を引き寄せてしまったりする。ロジャーはそれ以来、「自分を定義しないようになった」と言っています。

「正でも負でもない状態」はチカラになる。「ただ存在しているだけ」というタオ的とも、禅的とも呼べる状態が、二元論から離れる原動力になると。かれはこのbeingの状態こそが成長である、と言っています。

タオ的な方法論は、どこか一休さんのトンチに似ている。簡単なんだけど、認知の深みでひっくり返している。自分のなかの「これが起きがちだと信じていること」いわゆる「思い込み、あるいは、信念」だが、それを自分と切り離そうとしても、なかなかそれは難しい。信じている主体がそれを切り離すわけだから。しかし、この出来事はいい(私が望んでいる)、この出来事は悪い(私が望んでいない)ということがなくなれば、すべての出来事が「中立」になってしまい、「中立がOK」であるならば、すべてがハッピーな状態へと至る、という一休さんなのだ。

自由に状況を創れる「自由」はこの状態に続いてやってくる。要は、人生という用紙が白紙になってしまったあとに、自由に筆を走らせ色を乗せられる状態といえばいいか。

2)は、ロバートがこの10月に出た新刊「絶対幸せ」のなかで語っていることに近い。かつて「不幸になることにかけては世界一の専門家」だった彼がたどり着いた境地。多くの人がする間違いに、自由のため幸せのために「外界」を変えようとすることがある。人間関係を変え、家を変え、仕事を変え、収入を増やし、多くの目標を達成しても、それでも自由になれたとは感じられず、幸せでもなかったりするものだ。ロジャーとまったく同じように、ポジな感情は良くネガな感情は悪いと信じている間は、私たちは自由にはなれず、幸せにもなれないとロバートも語っている。

人生に起こる悲喜こもごものライフ・ストーリー、人生体験こそ、人生の「豊かさ」の宝庫であって、怒り、悲しみ、憂鬱、怖れ、平穏、興奮、そして「幸福」でさえも、溶けて混じり合って「真の幸福」となる、というのがロバートの言い方で、全感情の動きは「純粋な生の体験」であり、良くも悪くもなく、快くもつらくもないと。

純粋な生の体験には、「名前」(ラベル付け)は必要なく、いつもとても素早く自動反応するマインド・マシーン(機械のような感情惹起)のスピードを「遅くする」ことから、私たちは始めたらいいのではないか、と語っています。

ロジャーもロバートも、より自由でいるために、私たちの成長のなかに「タオ的姿勢」を取り込もうと助言しています。うーん、やっぱり、そこに行くんだな。

喜多見 龍一


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