メタ・コーチング
ISBNコード | 978-489976-261-4 |
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ページ | 436 |
判型 | A5 ソフトカバー |
著者 | L. マイケル・ホール博士&ミシェル・デュヴァル |
訳者 | 佐藤志緒 |
監修者 | 田近秀敏 |
発行日 | 2010-08-31 |
その他 | 協力:泉本行志/稲田隆一/小屋一雄/高野潤一郎/山村佳央 |
「何を、なぜ、どのように進めるのか?」
段階を追って学べる、最新のコーチング理論解説書。
その実践効果。たとえば・・・
- コーチングで今まで以上の結果を出すための、人の変化のメカニズム、メタ・コーチングの前提と基礎がわかる。
- メタ・コーチングのフレームワークのうち、「自己実現モデル」「メタ・ステイト・モデル」「マトリクス・モデル」「変化軸モデル」を中心に学ぶことで、卓越したコーチと同様の成果を上げるために習得すべき事柄が明確になる。
- コーチングにおけるスキルを第三者の視点から定量的に評価し、改善や革新を推進する「ベンチマーキング」の本当の意味、重要さが分かる。
本書概要
●本格的にコーチングの習得を目指す人が、コーチングの理論的枠組みを学ぶのに最適
本書「メタ・コーチング」は、「経験や勘」などと表現されるだけだった優秀なコーチの技量やノウハウと、その裏側で働くメカニズムを、「コーチングの理論的枠組み」として学習しやすい形で紹介しています。
メタ・コーチングとは、認知行動科学で博士号を取得し、自己実現心理学等に造詣の深いマイケル・ホール氏と、コーチとして優れた成果を上げ、オーストラリアのICF(国際コーチ連盟)立ち上げに携わり、ICFシドニー支部の共同会長なども務めたミシェル・デュヴァル氏の両名が、コーチングの理論面と実践面における研究を補完し合い、さらに、世界的に見て卓越した成果を上げていたコーチ数十名のインタビュー調査等を通して開発した方法論です。
●コーチングの世界が抱える課題に対する、解決策の1つとして注目
現在のコーチングの世界が抱える課題として、「コーチとしての力量に個人差が大きい」「コーチングは、単に種々雑多なスキルやアイディアを寄せ集めただけのツールである」「コーチの実力は、経験と勘に依存しており、組織として導入するには障害が多い」といった事柄が指摘されています。
こういった課題が生じる一因として、しばしば「フレームワークの不在」が指摘されており、コーチング利用者の不安や不満を解消すべく、コーチング関係者によるさまざまな取り組みが世界中で始まっています。
また同時に、コーチングの世界的潮流として、エビデンス・ベースト・コーチング(根拠に基づくコーチング)といったアプローチが注目を集めています。
これら2つの流れを踏まえて、「メタ・コーチング」は、心理学的な裏づけのもとに、マインドセットやスキルが体系化された「7つのフレームワーク」を持ち、「エビデンス(根拠)」に基づいて、コーチングを進めるというアプローチを採用し、今もさらなる進化を続けています。
本書は、2004年時点のメタ・コーチ・トレーニング・システムの主要なフレームワークを紹介する、初めての日本語書籍となっています。
「メタ・コーチング」の特徴
メタ・コーチングでは、「精聴(話の内容だけでなく、話の構造などにも耳を傾ける)」「支援(ラポールと存在感)」「具体化・詳細化の質問」「メタ・クエスチョン」「フィードバックの授受」などといった領域について6段階(0〜5)の指標を定め、コーチの能力を数値評価するとともに、その領域の能力を伸ばすためにどういったポイントに留意すればいいのかが分かる「ベンチマーキング」のフレームワークが盛り込まれています。
そして、メタ・コーチの資格を取得するには、トレーニングの受講「経験」に加え、ベンチマーキングによって一定水準の「実力」を示す必要があります。
ほとんどすべてのコーチの資格は、トレーニングを受けたという「経験」の証明でしかありませんが、メタ・コーチングは「コーチとしての最低水準の実力が保証されたコーチング」と言えるでしょう。
メタ・コーチングは、2010年5月現在、メタ・コーチとして認定されているのが世界で約1000人と、まだ生まれて間もない手法ですが、新たなコーチングの方法論について解説する複数の書籍で紹介され、何人ものメタ・コーチが2008年の北京オリンピックのアスリートをサポートし、南アフリカの銀行で正式導入され、グローバル企業の幹部をクライアントに持つメタ・コーチが現れるなど、さまざまな分野で高い評価を得ています。
コーチングの中核を担う能力(コア・コンピテンシー)とは ※本書より抜粋
本書ではメタ・コーチングの中核となる25のスキルを、3つの分野に分けて紹介していきます。最初に紹介するのは「コーチングに不可欠なスキル」、つまりクライアントの話を精聴し、支援し、適切な質問をするためのコア・コンピテンシーです。二番目に紹介するのは「コーチング・ダンスを通して変化を促進するスキル」です。最後に紹介するのは「卓越性を追求するためのコーチング・スキル」、つまり、より「効果」に焦点を当てたコーチングに不可欠な上級スキルです。
コーチングに不可欠な7つのスキル
- (1) 能動的な精聴
- (2) 支援:ラポールと存在感
- (3) 質の高い質問
- (4) メタ・クエスチョン
- (5) フィードバックを与える
- (6) フィードバックを受け取る
- (7) 心身状態(ステイト)を引き出す
コーチング・ダンスにおける9つの変化スキル
- (1) 促進する
- (2) 啓発する
- (3) 挑戦する
- (4) 調査する:メタ・モデルやメタ・クエスチョン
- (5)挑発する
- (6) 共同創造する:フレーミング、ディフレーミング、リフレーミング
- (7) 実現する
- (8) 強化(統合・定着)する
- (9) 検査する:モニタリング
卓越性したコーチングの実現に向けた9つの重要スキル
- (1)フレーミングとリフレーミング
- (2) タスキング:目的や目標達成に向けて有効なタスク(課題や作業)を与える
- (3) チアリーディング(応援・承認する)
- (4) 説明責任を課す/モニタリング
- (5)パターン検出
- (6) モデリング
- (7) ベンチマーキング
- (8) ステップ・バック
- (9) プロファイリング
メタ・コーチ・トレーニング中に、実際にあった会話の例
◆ティモシー:トレーニング参加者 ◆ミシェル :トレーナー(本書共著者)※本書19章より一部抜粋
- ティモシー
- 「もしクライアントが間違ったことを言っていたらどうするのか」とか、「もしクライアントが問題を取り除くための手助けを必要としているなら、その間違いをすぐに指摘して、どう変更すべきか伝えるべきじゃないか」とか聞こえます。
- ミシェル
- すぐに、今この瞬間に、あなたはそれをやる必要があると思いますか? クライアントの話の内容や話の構造をすべて聴き終えて、全体像をつかむまで待つ気にはならないでしょうか?[探究する]
- ティモシー
- 確かに、そうすればクライアントのためになるでしょう。でも私はどうしても待ちきれない。誰かにプレッシャーをかけられているみたいに、「早くこの人の問題を見つけて、それを解決してしまいたい!」と焦ってしまうのです。いや、それでは“解決”にはならないのだけれど、とにかくクライアントを助けたい一心なんです。
- ミシェル
- ティモシー、それなら、あなたは自分自身に「たとえ問題は“解決”しなくてもクライアントの助けになればいい」と考えることを許しているのでしょうか?[さらに探究する]
目次
- 序文
- 第1部 フレームワークによるコーチング
- 第1章 なぜコーチングが必要か
- 第2章 自己実現のためのコーチング
- 第3章 なぜメタ・コーチングなのか
- 第4章 メタ・コーチングの前提 −認知的およびメタ認知的コーチング・フレームワーク−
- 第5章 メタ・コーチングの原則
- 第6章 コーチングのメタ・ステイト
- 第7章 マトリクス・コーチング −マトリクスに働きかける−
- 第8章 コーチングに不可欠なスキル −卓越したコーチングのためのスキル−
- 第9章 ベンチマーキング −コーチングのメタ・スキル−
- 第2部 変化を促進するコーチング
- 第10章 ベンチマーキングで変化を起こす
- 第11章 変化のモデル
- 第12章 変化のレベル
- 第13章 変化のメカニズム
- 第14章 変化軸モデル
- 第15章 変化を啓発し、誘発する
- 第16章 変化を創造し、定着させる
- 第17章 チェンジ・エージェントとしてコーチが果たすべき役割
- 第18章 変化軸上でコーチのスキル、役割をベンチマーキングする
- 第19章 すべてを1つにまとめあげる
- 用語解説
- 参考・引用文献
著者紹介
●L.マイケル・ホール
「神経意味論(ニューロ・セマンティクス/NS:Neuro-Semantics)」分野の研究者、メタ・コーチング共同創始者。NSやメタ・コーチングの分野に関する著書を40冊近く執筆しており、「NLPハンドブック」(春秋社)、「NLPフレーム・チェンジ」(春秋社)といった邦訳書もある。
●ミシェル・デュヴァル
国際的に活躍するマスター・コーチ、講演者、トレーナー。マイケル・ホール博士と共にメタ・コーチ財団(MCF)を共同創始。急成長を遂げているコーチング組織「エクイリブリオ(Equilibrio)」のCEOでもある。