境界性人格障害(BPD)のすべて
ISBNコード | 978-4-89976-070-2 |
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ページ | 344 |
判型 | 四六判 ハードカバー |
著者 | ジェロルド・J・クライスマン&ハル・ストラウス |
訳者 | 白川貴子 |
監修者 | 星野仁彦 |
発行日 | 2004-06-25 |
感情が不安定で、爆発的な怒りを発しやすく、自傷行為をおこなう、自分のリアリティに周囲を巻き込む、論理的な説得が伝わらないなど、本人はもちろん、周囲の人も傷つきへとへとになってしまうBPD(境界性人格障害= ボーダーライン)。近年その研究が進み、医療現場でも注目を集めているBPDについて、長年に渡る豊富な臨床例と、それらに基づくさまざまな対処法を記し、米国でもっとも信頼できるBPDの書のひとつとしてロングセラーを続けている本の日本語版です。
ADHDなど他の障害との合併症として存在するケースも多く、臨床家も判断するのが難しいとされてきたBPDの診断基準を、人に対する不安定で激しい態度、自傷行為の繰り返し、気分の激変などの明解な8項目にわけて紹介。またさまざまな人のケースをくわしく解説しながら、BPDの症例と対処法を具体的に示しています。
医療現場でも対応が難しいとされているBPDですが、当事者や家族、医療担当者らが一緒になって根気よく取り組めば、治療は可能で、少なくとも症状は大幅に改善できることも、さまざまなケースを通じて紹介されています。本書の「SET のコミュニケーション」サポート( 支持する) 、エンパシー( 共感する) 、トゥルース( 真実を伝える) と呼ばれる治療の基本(BPD以外にも応用できます)を始め、怒りへの対応、グループ療法の有効性、娯楽が症状改善に果たす役割など、BPDに関する知識を得るだけでなく、当事者や関係者に希望を持っていた だける内容が充実しています。
また、日本語版の発行にあたり、弊社既刊書籍『知って良かった、アダルトADHD』の著者であり、専門医でもある星野先生のインタビューを巻末に掲載。これが大変読み応えある内容。この部分をお読みになるだけでも、この本をお買いになる価値があります。
- ●BPDの原因に深く関わる家族関係の見直しや、子ども時代に負った心の傷を癒すことが不可欠。
- ●パートナーや家族への関わりは、暴力的な支配、あるいは支配への依存に陥りやすく、互いに傷つきヘトヘトになってしまう。
- ●BPDの人を責めたり、同情したりするのは逆効果。一人では歩けないが、一人で歩けるように導いていくことで状況は改善できる。必要に応じて専門家に相談を。
- ●BPDの治療は、SETのコミュニケーション──サポート(支援)、エンパシー(共感)、トルース(真実)──が基本。
- ●つらい状況を乗り越えたBPDの人には、介護士や看護師になる人も多い。人から感謝されることはBPDの改善に大きな効果がある。
<目次>
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第一章 BPDの人たちが生きる世界
- 第二章 カオスと空虚感
- 第三章 BPDの原因
- 第四章 BPDを生みだす社会
- 第五章 理解と治癒
- 第六章 BPDの人々とのコミュニケーションを築く
- 第七章 よりよい治療を求めて
- 第八章 BPDの人たちに対応する
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インタビュー 「境界性人格障害の日本での状況とこれからの課題
──その背景を見つめ、希望の光をもとめて──」星野仁彦教授