ますます増えていく様々な「依存症」。 「物」に「行為」に「関係」に依存していく私たち。 その依存症に潜む原因に深く関わる 「AC(アダルトチルドレン)」と「ADHD」も詳述。 第一線の臨床家で精神科医の星野医師が語る、 依存症の原因と依存症にならない生き方。

依存症の真相〜アダルトチルドレンとADHDの二重奏

2,090円 (税込/本体価格 1,900円) 増刷・重版未定
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ISBNコード 978-4-89976-223-2
ページ 360
判型 四六判 ハード
著者 星野仁彦
発行日 2008-03-31
その他 取材・編集 夏目祭子

「21世紀は依存症の時代だ」と精神科医の間でささやかれています。アルコール、ドラッグ、タバコなど古くからよく知られた依存症に加えて、現代は買い物、ギャンブル、過食、インターネット、リストカット、セックス、などなど「えっ、こんなものまで?」と思うほど「心の病」としての依存症の対象は広がっているのです。
これまで上記のような“やめたくてもやめられない困った癖”を持っていることで、「だらしない性格・意志が弱い」と罪悪感を覚えて自分を責めたり、周囲に責められたりしていた人は、実はそうではなかったことが本書を通じてわかることでしょう。
依存症は意志ではどうにもならない「心の病」です。そしてそれは、心のメカニズムに応じた適切な対処法で癒すことが可能なのです。
本書の著者であるベテラン精神科医の星野仁彦医師は、依存症の元となる原因が、実は思春期以前に始まっていることを発見しました。その2大原因といえるのが「アダルトチルドレン(AC)」と「ADHD」なのです。ACとは、本来の家族としての機能を満たしていない「機能不全家族」の中で育った人のこと。また、ADHDとは「注意欠陥多動性障害」と訳され、脳機能の軽度のアンバランスから、不注意、落ち着きがない、衝動的といった特性が表れるもので、近年はADHDの子供の割合が増え続けているといいます。その一方で、大人が子供の時に診断されなかったADHDが発見されるケースも増えています。星野医師は、ご自身がADHDでもあるという実体験をADHD治療に生かして、大きな実績を上げています。
このように、従来は別々の本で語られていた2つの要素が絡み合って、依存症になりやすい“素質”が育つことを、星野先生が初めて解明しました。
本書では、ACとADHDについて、それぞれの詳しい特徴と、依存症からの回復と予防に役立つ適切な対処法を、実例を交えてじっくり解説しています。さらに子育て中の人には「わが子を依存症にしない育て方」が必見です。
また、各章の冒頭には、ナビゲーター役として本書の取材・編集を担当した作家の夏目祭子さんと星野医師の入門対談も収められ、ベーシックな知識が自然に押さえられるようになっています。


第1章 増え続ける依存症(嗜癖行動)のバリエーション
1.依存症入門対談
2.よくわかる依存症マッピング
「物」に依存する人たち──物質(サブスタンス)嗜癖…アルコール依存症/薬物依存症/ニコチン依存症/カフェイン依存症/シュガー依存症
「行為(プロセス)」に依存する人たち──行為嗜癖…仕事中毒/摂食障害/自傷行為依存症/ギャンブル依存症/買い物依存症=浪費癖/抜毛癖/窃盗癖/放火癖/携帯・ネット依存症/セックス依存症・強迫的性行動/性嗜好異常
「関係(リレーション)」に依存する人たち──関係嗜癖…共依存症/暴力嗜癖(DV・児童虐待・家庭内暴力)/恋愛依存症

第2章 機能不全家族──依存症になりやすいアダルトチルドレン
1.アダルトチルドレン入門対談
2.アダルトチルドレンのプロフィール
はじまりはアルコール依存症の家庭/広義のACに共通する特徴
3.健全に機能している家族とは
夫婦間同盟の大切さ/健康家族の三大条件/システム論的家族療法とは/家族カウンセリングの進め方
4.さまざまな機能不全家族にみる乗り越え方
機能不全家族への対応の原則/機能不全家族の中で育った依存症患者の治療例

第3章 ADHD──依存症にハマりやすい“素質”
1.ADHD入門対談
2.ADHDの本質を理解する
ADHDが“発見”されるまで/診断基準からみたADHD・三つのタイプ/三つの基本症状とその多様な表れ方/ADHDが発症する複合的要因/要注意!ADHDの成長プロセス3.ADHDと依存症の密接な関係
依存症との親和性を示す調査結果/ADHDの人が依存症になりやすい理由
4.ハンデを自覚すれば人生が変わる
病気の受容で悲劇が防げる/薬物療法の利用の仕方/依存症を乗り越えたADHD患者の記録

第4章 依存症にならない生き方とは
1.依存症対策対談
2.わが子を依存症にしない育て方
ADHDに有効な対人スキル・トレーニング/機能不全家族にならないための心がけ/自制心の強い子供が育つ条件
3.予防と再発防止に効くストレス・コーピング術
自助グループの有効活用/ネガティブ思考を変える認知療法テクニック

*コラム一覧*
拒食症患者の自画像は古代エジプトの壁画似?/スポーツ選手は摂食障害になりやすい?/アダルトチルドレンが多い職業は?/犬の心身症が増えているワケは?/アメリカはADHDの多い国?/ベートーヴェンもピカソもADHDだった?/アメリカでは不登校は児童虐待と見なされる?/刑務所に入ったら健康になった?/心の病の人が好む音楽は?

(取材・編集: 夏目祭子)


■著者
星野仁彦(ほしの よしひこ)
1947年、福島県生まれ。福島県立医科大学卒業、医学博士。
米国エール大学児童精神科留学、福島県立医科大学神経精神科助教授、福島学院短期大学教授などを経て、現在、メンタルヘルスセンター、福島学院大学福祉心理学部教授。専門は、児童精神医学、精神薬理学など。大学では精神医学や精神保健等の研究・講義のかたわら、精神科医としても、アダルトADHD、BPD他、多くの患者の治療に精力的にあたっている。著書には、『知って良かった、アダルトADHD』『気づいてこどもの心のSOS』(ヴォイス)、『幼児自閉症の臨床』(新興医学出版社)、『医師のための摂食障害119番』(ヒューマンTY)、『ガンと闘う医師のゲルソン療法』(マキノ出版)他、多数。

■夏目祭子(なつめ まつりこ)
1964年埼玉県生まれ、早稲田大学法学部卒業。作家、《アンチダイエット・カウンセリング》主宰。1990年代よりダイエットをやめることで体型がスッキリしやすくなるアンチダイエット説を提唱。ダイエット依存症・摂食障害を自力克服した体験を描いた小説『ダイエット破り!』(河出書房新社)で作家デビュー。『ダイエットやめたらヤセちゃった』(彩雲出版)により「過食が治った」「やせ始めた」「生き方が変わった」と多くのダイエッター・摂食障害者の熱烈な支持を受ける。また「魂に響く性教育」講師として、世界エイズデー、看護学校、看護師研修会などでも講演。近著に『性に秘められた超スピリチュアルパワー──幾千年のマインドコントロールを超えて』(徳間書店)がある。