【2009年09月号】コンスタレーションは、その独特の力学で 私たちに、あらたな認知の方法を示す。

ハンス・テンダムの風貌は、まるで大学教授のようだ(事実PhD は持っている) 。母国はオランダ。有名な街アムステルダムがある国。過去世回帰の名手で、母国やヨーロッパ各国はもちろん、インドやブラジル、日本など世界各国で後進の指導にあたっている。同時に彼は同時に80年代からビジネスのコンサルタントとしての認定を持ち、自国をはじめ各国で活躍している。彼の得意先のひとつに、オランダの警察がある。組織に向けたものでも、彼のコンサルのバックグラウンドに色濃くスピリチュアリティが存在するので、はじめてその話を聞いたときは耳を疑った。オランダの警察はそんなに頭が柔らかいのかと聞いたら、どんな組織でも構成員は少なからずスピリチュアリティを根底にもっている、という返事だった。

ご存じの方もいらっしゃると思うが、アムスではマリファナあたりまでは合法とされているという。同じく当時アムスにいたカエタノさんに、本当? と聞いてみたが本当だった。こういう国のおまわりさんはスピが入っているのかも・・・。

最近ハンスが組織向けで力を入れているのが「オーガニゼーショナル・コンスタレーション」だ。ファミリー・コンスタレーション(時折、ファミコンとも呼ばれる)という言葉は、セラピー事情に詳しい方は聞いたことがあるかもしれない。ファウンダーはバート・ヘリンガー(ドイツ)で、伝統的なセラピー、心理学の手法では何年もかかって1ミリしか解決に向かわないことから、いきなりズバッと本質と解決へ至るための特別なセッティングを開発した。その手法の特徴は代理人(通常はセミナーの参加者)を立てることにある。constellation は星座とか一群という意味で、たぶんその代理人たちが星座のように配置されることからだろう。それの個人バージョンがファミリー・コンスタレーションで、会社などの組織向けがオーガニゼーショナル・コンスタレーションだ。オーガニゼーショナルの方は最近の流れで特にヨーロッパでは盛んである。

イッシュー(問題)を提出する人間は、そのイッシューについて(代理人たちに)詳述しない。きわめてアウトラインだけを簡潔に述べる。それによって、配置される代理人が決められるが、必ずしも代理人は「ひと」の代理人だけとは限らず、ある事柄や事象である場合もある。イッシューを提出する人間がどのくらいそのイッシューにコミットしているかも、その後の展開に影響する。ひとはしばしば、問題を解決したいとは思っていないのだ!

このコンスタレーションのもっとも興味深い部分は、概略しか知らされていないそれぞれの代理人が、きわめて短時間のあいだに、もともとのイッシューの本質をズバリと演じてしまうという、その独特の力学にある。 なぜにそうしたふたつの異なる空間と時間のコンスタレーション(リアルとヴァーチャルの)で、相互に「共鳴」が起きるか、ということは非常に興味深い問題である。リアルな場がもっている緊張した関係性、圧力、きしみなどが、ヴァーチャルだがその問題を表現することにコミットしている本人と代理人たちが作る場に共鳴して映し出される、としか思えない。ハンスが言うには、代理人たちがきわめて自然に「適切に」動いたとしても、必ずしもその場で解決が起こるわけではないが、しかし、その啓示に富んだ「場」を共有することで、当事者(イッシューを提出した本人)の「認知」になにがしか変異、深い洞察などが起こる。そしてその後、その問題がゆるやかにほどけていく、ということが起こるようだ。

また、オーガニゼーショナルの方は特にそうだが、なにかのプロジェクト、その組織が「こうなりたい」という特定の目標がある場合は、それを助ける要素や邪魔する要素を代理人として配することで、目標をヒットする手助けをする、というポジな使い方もある。 しかしながらこの力学は、まだ世の中的には一般的に認知されていないので、きわめて先端的な経営をしている会社とか、経営者がこうした認知が起こる仕組みに、少なくとも嫌な感じをもっていない組織などがいまオーガニゼーショナル・コンスタレーションを採用しているにとどまっているかもしれない。その事情はハンスによるとヨーロッパでも一緒らしいが、しかし時代は圧倒的にそちらの方向に向かっている。おもわぬ大企業がこの考えを採用したりする時代もくるのだろう。ヨーロッパ以外でも、インドやブラジルでもハンスはコンスタレーションをファシリテートしており、多くの経営的な人的な成果をあげている。

これらの特異な力学が起こることの背景には、人間の認知の系に未知の道筋があることが予想される。それが霊的なものなのか、はたまた次元間的なものなのか、あるいは脳の未知機能なのか、共通データベースのアクセス能力なのか、私自身はまあ、そのどれでもいいかと思っているのだが、大切なのは、それが起こるということであって、理由をさぐることではない。これを書いている明日、明後日がハンスの日本ではじめてのデモとワンデーなので、ちょっと顔を出してみようと思う。

喜多見 龍一


 >  喜多見龍一の読むワークショップ ウェブ版