中西研二インタビュー

■なぜこれまで人類は分離意識にあったのでしょうか

中西:私はひとつのいい例として映画『ベルリン・天使の詩』を挙げるんですけれど、最初の場面では天使が天上から人類社会を見ていて、泣いたり、笑ったり或いはコーヒーを飲んで「熱い!」とか、「苦い」と言っていることが分からない。タバコを吸って「煙い」とか、「寒い」って何で言っているのかが、皆目わからないんですね。しかも、恋愛なんかになると何故ここで泣くのか、孤独で泣いているのがさっぱり分からないんですね。それは天使の世界は愛そのものだからなんです。愛そのものになったとき、じつは体験もないんですね。 「よしじゃあ人間社会に行こう」ということになって、神さまがそうしてくれて、地上に降り立った途端、スクリーンが白黒から総天然色になる。その切り替えが面白かったですね。頭から血が出ていて、「痛い!」と感じる。「おー!これが『痛い』っていうことなんだ」って騒ぐんですね。それで今度は「寒い!」って感じて、「おー!これが『寒い』っていうことなんだ」って走り出すんですね。最後はサーカスの女性と恋に落ちるんですね。 つまり私たちは体験を当たり前と思っていますが、体験のすべては与えられたものというのが伏線にあるわけです。映画の中の体験すべてが与えられているというフレーズなんですね。(中略) 私たちは元々神、創造主と一体だったというか、そのものだったんです。神はそのものであることから中身を体験したくなった。そこで敢えて分魂(わけみたま)という言葉がありますが、小さく分かれ、神々にし、向かいあった。だからその昔々は分離することが当たり前だった、分離しないと体験できませんね。だから日本神道のご神体は鏡なんです。鏡というのは、自分を見るためのものですね。そして我が入ってきたんです。カとミの間のガが入って、分けていった。だから分魂なんです。我が邪魔をして、神が一つになれなくなってしまった。つまり私たち人間は分離意識そのものが自分だと思い込んでしまった。つまり体験があまりにもリアルであるがゆえに、こっちが本当で神から分離してしまったのです。体験するために分離意識は必要だったのです。

■中西さんがおっしゃる「宇宙の本質はワンネスである」についてお話ください

中西:インドの神に「踊るシヴァ神」というのがありますが、これは宇宙の仕組みを表現しています。手は4本あって、1本の手は火を持ち、これはエネルギーを表現しています。また1本の手はドラムを持っています。これは振動です。つまりこの世界は振動によって創られた、すべてのもの振動性、つまり波があるわけです。量子力学でいうところの波、粒子というのは、じつはこの世界の本質を捉えたということです。これらのものによって宇宙はできているんです。何故踊っているかはお分かりのことと思います。至福をなんです。宇宙を創造した本音は至福、喜びそのものだったのです。だから分離させて、最初、うみ全てのものを生み出した海ができ、海中に沢山の生命があふれ出し、そして地上に上がり、またバリエーションを創り出し、やがて創造物が生まれ、その結果として人類が誕生したわけです。 人類が生まれ、最初にウォークインしていった人間たちというのは、すごい喜びだったと思います。「暑い、寒い」「眠い」「痛い」が分かり、それを感じるために五感ができ、それをサポートするために器官ができたのです。誰もがそれらのものをもって、この世界に来たのだから、幸せであって、至福を感じて当たり前なんです。ところがこの体験があまりにもリアルであったが故に、人間の意識、マインドが分離こそ真実だと信じ込んでしまったんです。 本当は宇宙そのものが一つなんだから、創造主と私たちは全く違う存在ではなくて、全く同じもの、そのものだったにもかかわらず、神から離れているという感覚になり、さらには神なんていないんだという所まで行ってしまったんです。そしてみんな孤独になり、自分ひとりで生きていかなければいけないという孤独感に苛まれ、分離からの超越の無になって、「折り合わない奴はやっつけてしまえ」ということになって争いをはじめ、自らが自身を殺しているような殺伐とした世界を創り出してしまった。それがワンネスと分離についての序章的なお話しです。

■私たちのなかでワンネスはいつどのように始まるのでしょうか

中西:ワンネスの世界は愛なんだ、ということを説明するのに「小指の思い出」のお話しをするんですね。小指が怪我をしますね。血がバーっと出て、大変痛かったら、人はどんなに忙しくても、恋人の約束事があったとしても、この小指のために集中しますよね。出血を止めなくては、とにかく傷を治さなくてはと、病院に行くかもしれません。怪我した小指に向かって「お前こんなところで怪我なんかしやがって!」と文句を言う人はいないでしょう。これは『愛』なんです。無償の愛とはそういうことです。自身の全力を挙げて、この指の怪我を治そうとする。そのときに何の報酬も受け取ろうとしないですよね。それが宇宙全体にあるんです、元々そのものなのです。 「ワンネスになる」と、自分は至福そのものなのです。自分を見てみると、そういう状態であるから楽しいわけです。幸せでない人がいると、自分も幸せでいられなくなるから、当然自分のもてる全力を挙げて、その人もまた至福に導きたいし、導かないと自分は幸せにならないという感覚になるんです。 つまり自分も相手もないんだということが、だんだんと分かってきているので、最初はそこから始まります。そのうち一人二人と始まっているうちに、「あれっ、これって自分も相手も同じと、その境界がなくなっていきます。人とのワンネスがはじまり、一体感が出てくる。これが人類全体の一体感になり、やがては今度は地球上のすべての存在とのワンネスへとなっていくんです。地球は別に私たちと違う存在ではない、一つなのだということが、仕組みとしてもう分かってきていますが、本当にその感覚そのものになるのです。(中略) 今、宇宙システムが大きな変革のときを迎えています。2000年に一度の、宇宙の中心が地球に照準を合わせ、真っ直ぐに並びます。それが2012年です。 2004年6月8日のビーナストランジットという現象は、その2012年の6月8日までの8年間にすべてのシフトが終わります。その中心のど真ん中が日本なのです。日本からはじまり、日本で終わるのです。

■中西さんご自身がワンネスに向かわれたきっかけなどを

中西:詳しくは本書をぜひお読み頂きたいのですが、43歳のとき、企業戦士として第一線を登りつめ頂点に立ったとき、仕事上の出来事で絶望感に苛まれ、自殺を決心したことがあったんです。夕方の薄暗い中、高架橋から線路に飛び込もうとしたとき(「何でこんなにタイミングよく」と思うのですが)、警官がトントンと肩を叩いたんです。私はとっさに「あそこ光っているものが見たかったので」とか何とか言い訳をしたんですね。警官に捕まりたくない一心で。「気をつけなさいよ。落っこちたら危ないじゃないか」と言って、その警官は去っていきました。私は、ボーっと立ちすくんでいました。自殺の機会を逸してしまったわけです。 そしたら今度は、20年間一度も会わなかったのに、学生運動をやっていたころ何かと面倒をみた友人が前から歩いてきたんですね。「おー!久しぶり!」となって、喫茶店に行って話しをしてみると、相続した新宿のビルに空き部屋があるから、「自由に使ってくれていいよ」って言う。そこから妙な蒸発生活がはじまったんですね。 部屋はあっても食べるものがなかった。一階のスーパーで余りモノをもらうようになって、飲食物には事欠かなくって。そしたら今度はいろんな人たちが出入りするようになった。昔から何故か人が集まってきちゃうんですが(笑)、バーテンダー、ホステス、的屋、ホテトル嬢なんかもいたんですよ。みんな集まっちゃ、毎日が宴会なんですね。騒がしいからまた何だろうって、覗いて、面白そうだとまた入ってくる。すごい人数になっちゃたんですよ。そのうち、お悩み相談みたいになっちゃって、自殺を考えていた私が「死のうなんて考えちゃ駄目だよ」なんて反対に諭したりしていたんです(笑)。 気がつくと一年たっていたある日、父が枕元に立っていたんですね。夢枕じゃないんです。最期の別れに来たんだ、って父が他界したことが分かったんです。恐る恐る家に戻ると蛻の殻。そのとき葬儀の最中でした。 それでも家族は私を温かく迎えてくれた。一言も文句は言わず,只「よく帰ってきてくれたね」と言ってくれたんです。心底うれしかった。これからはこの愛する家族のために生きよう、と強く決心しました。 それからはヒーラーとしての道がまるで用意されていたかのような、導かれて幾多の体験をさせられました。 今まで人類は体験するために、分離意識の中で生きてきました。しかし、もうその時代が終わろうとしています。これからは分離から統合の時代、ワンネスになり、地球規模で世界がひとつになっていきます。 さあ、一緒にワンネスを体験してみませんか?

中西 研二(なかにしけんじ)

1948年東京生まれ。NPO法人『JOYヒーリングの会』理事長。(有)いやしの村東京代表取締役。ヒーラー。ワンネス・ディクシャ講師。全共闘の委員長から新聞記者、セールスマンなど、数々の職業を経験後、1993年に夢の中でヒーリングを伝授され、以来13年間で14万人を超える人々を癒し続けており、そのヒーリング活動の場は日本だけでとどまらず、昨今は海外からの招聘もあり、アジアを中心とした外国にもその活動が拡がっている。また、2004年9月にインドの聖者カルキ・バカヴァンの元で悟りのエネルギーを伝授され、以来ワンネス・ディクシャという手法で“悟り”のエネルギーを授け続けている。著書に『そんまんまでオッケー!/1997年』『悟りってなあに?/2005年』(共にVOICE刊)。2007年には、CD『宇宙からのラブレター』を監修している。満を持した、待望の本書がVOICEよりの3作目になる。