ニーヴス博士インタビュー「ヒプノセラピー・セッション」

ヒプノセラピーは、昨今日本でも特に注目されているセラピーのひとつです。長年にわたる臨床経験に基づく、クライアントとの豊富な経験があり、毎年日本で開催されるセミナーも好評のニーブス博士が、日本人向けにヒプノセラピーを分かりやすく、かつ具体的に解説した本書では、ヒプノセラピストに向けた専門的な内容だけではなく、個人としてヒプノセラピーに興味のある人が理解を深められるようにも工夫されています。また、付属CDには、ニーブス博士自身の実際のセラピールームでおこなわれているセッションの流れと同じ内容がフルに録音されています。目的別のケーススタディを豊富に収録した本書は、初心者からプロまで幅広く活用できる実用的な書といえるでしょう。夏の発行に先駆け、本書の内容をニーブス博士より語っていただきました。

博士がヒプノセラピストになったきっかけは?

ニーヴス

ある日、医者が実に正直に、こう話してくれました。「このままだとあなたはたぶん2年以内に死んでしまいます」。

私はまず、お酒をやめました。そしてある夜、私は静かに座り、自己催眠を行いました。自分のもつパターンを変えたのです。パターンのシフト、転換を図ったのです。以後今日まで、飲酒の習慣はありません。

次に大問題だった、体重を減らそうと決心し、これにも自己催眠を行いました。当時私は136キロ位だったのですが、1年半で約70キロになり、見た目は別人のようになり、体のサイズは半分位になりました。その間に、多量に摂取していた薬も管理し、最終的にすべての薬を止めました。 私の回りの人たちが口々に「どうやって減らしたの?」と訊ねられた私はこう答えます、「簡単です!(笑)」と。それは冗談としても、基本的な神経学的な能力というのは誰しももっています。私が何か教えることができるとするならば、それは、「あなたも体重を減らすことができます」につきます。

ヒプノセラピーとは、どんな効果をもたらしますか?

ニーヴス

この15〜20年間、その分野での研究がさらに増えてきています。Nordic Institute for Researchには、ガンが自然退行した3000以上の症例が集められています。患者の多くはガンであると明らかに告知を受けたにもかかわらず、ある日突然ガンが消失した症例です。共通点を見出そうと、調査すると、患者自身が深い内面的な経験をしているという共通点がありました。「自分たちが宇宙の一部であり、自分自身の内側にも宇宙がある」と感じた後でガンが消えました。マインドのパワー、精神力の存在が大きく作用した症例です。 例えばあなたが切り傷をして血が出てもやがて止血する。あるいは床屋に行って散髪する。爪を切ったとしても、それでも「あなたの(一部)がなくなりますか?」。そうです、あなたはなくなりません。

ということは、肉体があなたではないということになり、「あなたはこの肉体全体あわせたもの以上の存在です」ともいえます。それはマインドであるといえます。では、この見えないマインドは身体のどこにあるのでしょうか?

「脳はここにあります」と両耳の間の頭部を指すことはできます。しかし私たちはマインドについて、実はまだよく理解していないのです。このことについてもっと本当に、学ぶ必要があります。

ある科学者が「もしマインドというものが、私たちが簡単に理解できるようなものであったとしたら、私たちの存在自体が、単純すぎる存在になってしまうであろう」と述べていますが、私たちはこの分野に過去30,40年間、マインドというのは一体何をし、その力をどう扱えばいいのだろうか、と臨床してきました。

頭の天辺から爪先にまでの細胞が何をしているのかという情報を、マインドは知っています。それはもう、瞬間的に分かっています。ということは、あなたが自分の身体のある一部分に、今何をしているかを隠せないわけです。だからこそマインドを理解し、働きかけることが重要になってくるわけです。

催眠時には変性意識の状態について知りたいのですが。

ニーヴス

変性意識の状態、ヒプノティックな状態にあるということについてですが、例えば、車を運転して帰宅しようとした時、知らないうちに自宅に着いていた。通勤時にもう降りるべき駅に着いていた。パソコンに没入して時間がたつのを忘れた。あるいは子供がテレビに夢中になると、パパやママが話しかけてもまったく聞こえない、など、変性意識になり自動制御装置が働いたかのごとく、オートメーション機能が働きます。

忙しい現代人は1日のうち、その変性意識へのスイッチをオン・オフに無意識にしています。また日本人は文化的な背景も手伝って、無意識にできるのではないかと思います。

ヒプノセラピーでは、自分にとって好ましい習慣をつくることもできますし、好ましくない習慣をやめることもできるわけです。 これは、潜在意識は現実と空想の違いが分からないからということに着目していることに起因しています。

ヒプノセラピーでプログラムを修正する方法を教えてください。

ニーヴス
修正する方法は2つあります。

プログラムそれ自体を書き換える方法と別のプログラムをインストールするという方法があります。簡単なプログラムであれば、この別のプログラムをインストールするという方法が、大変効果的です。

しかし、誰かプロの手を借りて、再プログラミングする必要がある場合があります。ヒプノセラピストは、究極のコンピュータープログラマーの役目を果たすわけです。

催眠状態=変性意識状態に入ると、クリティカル・ファカルティー(Critical Facaluty 判断や批判をする機能)の部分が緩むことにより、暗示が可能になります。

コンピューターの例で言えば、実際に新しいプログラムをインストールするためには、まずアクセスをしなければなりません。プログラムにはセキュリティーがかかっていて、正しい言語あるいはパスワードなどを知らなければ、そのセキュリティーを解除することはできません。

それと同じようにクライアントにかかっているセキュリティーの部分を緩め、リラックスさせることをしなければ、そのプログラムに働き掛けてそこを修正していくことはできません。

ヒプノセラピーとスピリチュアリティとは密接に関係していますか?

ニーヴス

どんなセラピーでも、あなたのスピリット=魂に触れないようなセラピーは、変化が長続きはしません。

特に、クライアントの心の世界に深く入っていくことが重要です。それはお説教をするような、判断をすることではありません。クライアントのスピリチュアルな部分とつながる、ただそれだけです。

セラピストはクライアントのより高次の意識のレベルに語りかけている時、クライアントの高次の意識もセラピストに語りかけています。 実際、私のセラピールームではスピリチュアルな交感が日々行われています。

セラピストになろうとしている人たちには、自分の潜在意識をもっと信頼しなさいと言っています。

今日では、多くの人がスピリチュアルな存在、高次の意識の存在に気づき、自分よりもっと大きな存在を信じています。

リサ・ランドール博士数学、物理学的に5次元の存在を何の矛盾もなく証明してみせ、センセーションを巻き起こしました。このようにそれまで信じられてきた世界の構造自体が違うかもしれない、という風に世の中も変わりつつあるようです。

人間自身についても、肉体に焦点を当てた近視眼的な見方ではなく、このように俯瞰から眺めるような視点をもつことが、大事だと思います。そういう視点に立てば、おのずと他の人を助けなければいけない、例えば飢餓に苦しんでいる人たちに手を差し伸べたくなります。

これは、私のヒプノセラピストとしてのセラピーの究極の目的でもあります。