著者ローズ・ローズトゥリーからのメッセージ「日本の読者の皆様へ」

本書を手に取ってくださったあなたのために、私はこのコラムを書くことにしました。そのきっかけは、アキコという女性クライアントから受けた次のような質問です。

「いくらアタッチメント・コードをカットしてもらっても、また同じパターンのコードが新たに生まれてしまいます。似たようなタイプの異性に引かれ、その相手とのコードに縛られていくのがわかるのです。このような状態を避けるためには、いったいどうすればよいのでしょう?」

これは、アキコ以外の人にとっても非常に重要な質問と言えるでしょう。この質問に全力を尽くして答えることこそ、今の私に与えられた使命にほかなりません。だからこそ、私はこのコラムを書こうと思い立ちました。このコラムが少しでも日本の読者の皆様のお役に立てられれば幸いです。

アキコという女性について

まず、この質問者アキコの経歴をざっと紹介しておきたいと思います。彼女は非常に聡明で心優しく、ポーカーフェイスで冗談を言うこともある、やや芸術家肌の女性です。しかも内面だけでなく、容姿にも恵まれています。

そのアキコがクライアントとして私を訪ねてきたのは、もうかれこれ七年前のことです。当時のアキコは孤独感、怒り、抑圧感など様々な問題を抱え、苦しんでいました。そこで私は数年間にわたって、彼女が抱える最も有害なアタッチメント・コードを何本もカットしていったのです。その間、アキコもまた個人的に成長しようと懸命に努力を重ね、大きな進歩を遂げていきました。そして私はそんな彼女を誇らしく思ってきたのです。

ところが、そのうちアキコは「明らかに何かがおかしい」と感じはじめます。そう、「いくらコードをカットしても次々と新しいコードが生まれてしまう」という新たな問題に直面してしまったのです。そしてその問題を避ける術を見つけられず、とうとう私に冒頭の質問を問いかけたのです。

そのとき、さらにアキコはこう言いました。「先日、会って10分話しただけの男性との間にもコードが生じてしまったんです。どうか今すぐそのコードをカットしてください。そしてもしできることなら、新たなコードを避けるのに役立つノウハウや概念を教えてほしいのです」

向上心が人一倍強い彼女のことです。こう言い出したのは「自分をもっと強化したい」という切実な思いからに違いありません。それゆえ、私はこう決心したのです。「よし、彼女のこの質問に心を尽くして答えよう。新たなコードを避けるのに役立つノウハウや概念をとことん教えてあげよう」と。

「時間がない」という読者の方は、これからの回答部分を読み飛ばしてしまっても構いません。でももし「アタッチメント・コードに興味がある」「アキコの問題は自分にとっても大きな意味がある」とお考えなら、どうかここからの回答を熟読してみてください。

幼少期のアタッチメント・コードについて

クライアントのアタッチメント・コードについて考える場合、その人の幼少期の体験を見つめ直す作業が欠かせません。なお、この場合の「幼少期」には、母親の胎内にいる時期も含まれます。

赤ちゃんはすべすべの体としなやかな柔軟性を持って生まれてきます。まさに神が創った状態そのままで、この世に生を受けるのです。そんな彼らは母体から生まれ落ちる前に「人生契約」を交わしている──私はこの考え方を固く信じています。その契約において、彼らは21歳になるまでに自分が体験する重要な人間関係や出来事をすべて選ぶことになるのです(なかにはこの契約が「28歳まで」の人もいます)。

そう、あなたが「愛しい」「憎い」と思う人々も、「勝った」「負けた」と感じる出来事も、すべてあなたが生まれる前から計画されています。それは「地球」という学校において、私たちすべてに用意されたカリキュラムの一部なのです。

21歳を過ぎると、その人生契約の基本条項はそのまま残りますが、交渉次第で自分の人生を変えられるようになっていきます。自らの自由意思をいかにフル活用し、何を“引き寄せる”かで、その後のあなたの人生が大きく変わっていくのです。

ところが自主的に人生契約を交わしているにもかかわらず、私たちの多くはその契約の重みに対する心構えができていません。それゆえ胎内にいるとき、容赦なく襲いかかってくる「地球」という学校の厳しさ、激しさにびっくりすることになるのです。私の友人であるナラヤン・シン・カルサ博士は、こんな興味深い意見を述べています。「流産の多くは、胎内に宿った魂が『もうダメだ。こんな試練には耐えられない』と感じることで起こるものなのです」

このことをふまえ、私はセッションに「過去生回帰セラピー」という手法を取り入れることにしました。クライアントの幼少期の苦しみの声に耳を傾けることが、円滑なカッティング・コードにつながると考えたからです。するとどうでしょう。どのクライアントも幼少期の苦しみや不幸を驚くほどたくさん抱え込んでいました。その典型例を次に紹介したいと思います。

  • アルコール依存症の父親に虐待され、心身共に激しく傷ついてしまった。
  • 感情面で問題を抱えた母親に一度も話を聞いてもらえず、大きな孤独感を募らせてしまった。
  • 常に母親に無視されていたせいで、「自分には何か問題があるのかもしれない」という強烈な不安を抱え込んでしまった。

この種の問題に直面しても、ある程度の大人なら、なんとか心の折り合いをつけることができるでしょう。たとえばこんな具合です。「まったく父親がアル中だなんてツイてないよ。いっそのこと、俺もアル中になって対抗してやろうか? いいや、そんなバカなことをしても自分のためにはならない。なんとかしてこの問題を切り抜けなければ。そうすれば、あの父親から逃げることだってできるのだから……」

ところが、小さな子供はこういった視野に立つことができません。幼少期は、誰もが純粋無垢で美しくもろい存在であるからです。それゆえ、彼らは「地球」という学校で体験する怖れや痛みに対して、極度に反応してしまうことになります。その結果、次のような「内面的ガラクタ」を溜め込んでしまうことになるのです。

アタッチメント・コード

「スピリチュアルな絆」と「アタッチメント・コード」──このどちらも、私たちを大切な人間関係に結びつけるものにほかなりません。でもその本質はまったく異なります。スピリチュアルな絆を通じて、私たちは愛や学びを蓄積することになります。一方アタッチメント・コードを通じて、あらゆる重要な人間関係の厄介なパターンを無意識にくり返してしまうことになるのです。しかもコードを完全にカットしない限り、その状態が終わることはありません。

凍てついたエネルギーのかたまり

アタッチメント・コードに縛られると、私たちの内面には「凍てついたエネルギーのかたまり」が生じることになります。多くの場合、このかたまりには未解決の感情(私たちがきちんと対処できない苦しい感情)が含まれているものです。しかもこの種のかたまりは、私たちの体の奥深くに沈み込んでいってしまいます。ひとたびこのかたまりを抱え込むと、一生トラウマを抱え、その悪影響を受け続ける羽目になってしまうのです。

健康問題

人によって重度は異なりますが、「凍てついたエネルギーのかたまり」のせいで、健康問題を抱え込んでしまうケースもあります。これはこの世に生まれてくる前、母親の胎内にいる間でも同じことです。だからこそ、この種のかたまりには何らかの方法で対処しなければなりません。

感情的な苦しみ

「アタッチメント・コード」と「凍てついたエネルギーのかたまり」を放っておけば、やがて感情的な苦しみが生み出され、増大してしまうことになります。その結果、その人本来のエネルギーの流れが滞ってしまうことは言うまでもありません。

では、このような「内面的ガラクタ」を抱え込んでしまったら、どうすればよいのでしょう? 次に、そのために役立つ方法を紹介したいと思います。

現実に折り合いをつけるか、自己実現を選択するか

「内面的ガラクタ」に対処し、この「地球」という学校で進化を遂げるための方法はふたつあります。ひとつは、生命の危機にさらされるような「内面的ガラクタ」でない限り、極力それらを避けることで、目の前の現実に折り合いをつけようとする方法です。もう一つは、積極的に「内面的ガラクタ」に取り組み、自己実現に向けて前進しようとする方法です。このどちらの方法をとっても、あなたは進化していくことができます。 次に、そんなあなたの助けとなる効果的な手段をいくつか紹介しておきましょう。これらの方法の実践を通じて、あなたは募る一方の怖れや痛みから自分を解放することができるのです。

エナジー・メディスン

これは「内面的ガラクタ」によって生じた健康問題から人々を解放するための手法です。代表例としてはレイキ、アロマセラピー、鍼治療などがあげられます。

身体システムのバランスが大きく崩れてしまうと、それだけアタッチメント・コードや凍てついたエネルギーのかたまりの悪影響を受けやすくなってしまいます。だからこそ身体的な痛みを感じたら、エナジー・メディスンを用いてその痛みの経路をたどることが大切です。チャクラや経絡を通じて適切なエネルギーの流れを確保することこそ、困難や問題から我が身を守る最適な手段にほかなりません(これは先のアキコの質問に対する一つの答えと言ってよいでしょう)。

エネルギー心理学

これは自己実現と健康を促進するための手法です。代表例としては、EFT(エモーショナル・フリーダム・テクニック)があげられます。EFTとは、マインド・ボディ・スピリットのエネルギーの滞りを和らげる、一人でも実践可能なテクニックのことです。もっと具体的に言えば、体のツボをタッピングすることで否定的な感情から解放される手法を意味します。

タッピングによって問題を遠ざける――これは本当に素晴らしい方法にほかなりません。とはいえ、いくらタッピングをくり返しても、アタッチメント・コードを取り除いたり、凍てついたエネルギーのかたまりを体系的に取り除くことは不可能です。むしろ、EFTはそれらの技術を補完するテクニックと言ってよいでしょう。現にカッティング・コードのセッションにEFTを併用することで、クライアントに奇跡的な変化が起こるケースもあるのです。

過去生回帰セラピー

これは、凍てついたエネルギーのかたまりを細胞レベルで取り除くための手法です。この手法は、たとえばクライアントが次のような問題に悩んでいる場合、特におすすめです。

  • いくらアタッチメント・コードをカットしても、それと同じパターンの新たなコードに縛られてしまう(これは、まさに先のアキコに該当するケースです)。
  • 慢性的な健康問題を抱えてしまっている(特に従来の薬やエナジー・メディスンを用いても、その問題が解決しない場合)。

ひとつ例をあげてみましょう。たとえばあなたが何世代にもわたり、凍てついたエネルギーのかたまりを抱えているせいで「大切な人から拒絶されてしまう」という問題に悩んでいたとします。そんなときは過去生回帰セラピーを活用し、その原因となった出来事を突き止め、癒してあげればよいのです。そうすれば、何世代にも渡って悪影響を及ぼしてきた凍てついたエネルギーのかたまりが消えていくでしょう。その結果、あなたを悩ませているパターン(「大切な人から拒絶されてしまう」)も消えていくことになるのです。

エネルギー・スピリチュアリティ

これは私が考案した名前で、マインド・ボディ・スピリット全体を癒すための手法です。カッティング・コードはこの代表例と言えるでしょう。

カッティング・コードは、はじめてマインド・ボディ・スピリット全体の癒しを体験する人には特におすすめの手法です。このテクニックにより、あなたは大きな結果をすばやく得ることができます。まさに1時間程度のセッションにはうってつけのテクニックと言えるでしょう。

コードにまつわる問題を避けるための5つの秘訣

でもいくら取り除いても、同じパターンを持つ、新たなコードができてしまったときはどうすればよいのでしょう? それをとめる手だてはあるのでしょうか?

たしかに、新たなコードを避けるための手だてはいくつか考えられます。でも残念ながら、どれを実践してもうまくはいきません。なぜなら、アタッチメント・コードとはあなた一人のものでなく、相手がいてはじめて成立するものだからです。

「それなら何も打つ手はないのだろうか?」などとガッカリしないでください。もちろん、先のアキコや似たような悩みを抱えるあなたにもできることがあります。それが次にあげる五つの秘訣です。

  • カッティング・コードの技術を学ぶ。
    この本は、画期的な技術「カッティング・コード」についての解説書です。どうかこの本を熟読し、コードを取り除く技術を身につけてください。
  • 尊敬できるヒーラーを見つけ、問題が生じたらそのヒーラーに診てもらうようにする。
    前述のアキコも、問題が生じるたびに私のもとを訪れています。今日、ヒーラーに診てもらうのは何も珍しいことではありません。今は、多くの人々がサイコセラピストやマッサージ・セラピスト、レイキ・プラクティショナーなどのオフィスへ、週に一度の割合で予約を入れる時代なのです。 自分が尊敬できるヒーラーと信頼関係を築く――これは決して悪い考えではありません。こうすれば「自分のバランスが崩れた」と感じたときに、すぐにセッションの予約を入れ、プロの助けを得ることができるのです。
  • 癒しの専門家は慎重に選ぶようにする。
    癒しのプロを選ぶときは、あなたのスピリチュアルな興味に沿った、適切な人を選ぶようにしましょう。そうすれば、ずいぶん多くの弊害を未然に防ぐことができます。大切なのは、癒しの専門家の「約束」だけでなく、その「人柄」にも注意を払うことです。 実際のセッションは楽しいことばかりではありません。だからこそ、真の意味での{プロ/傍点}のセッションを受けるようにすることが大切です。「安いから」「近いから」などという理由で選んではいけません。よい腕を持つ、バランスのとれた、人柄のよい、あなたが親密感を覚えることができるヒーラーを選びましょう。もし可能なら、そのヒーラーのオーラを読んでみるとよいでしょう。
  • 有害なコードを引き寄せてしまう「苦悩のパターン」を一掃する。
    凍てついたエネルギーのかたまりは、有害なパターンを細胞レベルで生み出してしまいます。でも、そのパターンからあなたを救い出すテクニックがあります。それが前述の「過去生回帰セラピー」です。どうかこの技術のことを心に留めておいてください。なお、たとえクライアントが「過去生」を信じていない場合でも、このテクニックは有効です(実際私は、過去生を信じることが許されていないモルモン教やユダヤ教の信者を相手にこのセラピーを行い、目覚ましい成果をあげています)。
  • 「内面的ガラクタ」を一掃し、エネルギー的にあなたを取り込もうとする人々を避けるようにする。
    「内面的ガラクタ」を抱えていると、「自分のためにならない人」や「自分にとって害にしかならない人」に興味を抱き続けてしまいます。だからこそ、オーラを通じて「内面的ガラクタ」を取り除くことが大切です。そうすれば、あなたの選択が自然に変わりはじめます。無意識のうちに、エネルギー的にあなたを取り込もうとする人々を避けられるようになるのです。

先のアキコのその後をご紹介しましょう。この5つの秘訣を実践した結果、彼女は「いくらコードをカットしても次々と新しいコードが生まれてしまう」という問題を克服することができました。そのことについて、彼女はこう語っています。

「この5つの秘訣を守ることで、わたしは前とは違った選択を下せるようになりました。以前なら確実に引かれたはずの異性に出会っても、まったく興味を感じなくなったんです。もちろん、その相手との間にコードが生じることもなくなりました。そのおかげで、アタッチメント・コードにまつわる苦しみや問題から解放されたのです」

これはアキコだけでなく、あなたにも当てはまる話です。「内面的ガラクタ」から解放されるほど、あなたの興味はこれまでとは異なる、よい方向に変わっていきます。その状態を積み重ねるほど、より完全な人間になることができるのです。どうかそうなるための努力を重ねていってください。ガラクタはガラクタしか引き寄せることができません。あなたのマインド・ボディ・スピリットが完全になるほど、あなたはさらなる完全性を引き寄せ、身につけることができるのです。