【2007年09月号】パラレル・リアリティを認識したら、私たちはより幸せになるだろうか?

8月の初旬に、ダリル・アンカ(Basher)と須藤元気さんの、こういうのはなんて言うんだろう「対談本」というのも違うような気がするが、新しい本を編むための対面セッションの現場にいた。須藤元気さんは、これを書いている時点で、ご本を3冊出版されているスピリチュアルな元K1ファイターで、TVにもたびたび出演されている。以前からバシャールの本に共感されるところがあったということで、今回の企画になった(この本は、今年11月発売予定)。

バシャールは前回2005年に来日セッションしているが (書籍では「BASHAR2006」) 、2007年型バシャールは、須藤元気さんのエネルギーに感応したのもしれないが、だいぶ雰囲気が違っていた。通訳の大空さんもエネルギーに朦朧とするくらい強いインパクトがあった。なにより、今まであまり具体的・科学的に語ることの少ないバシャールだったが、今回は、年号や数字や起こりうることなどを、かなり具体的・科学的(量子力学的)に語った印象が強い。その中でも、わたしが印象的だったのが「パラレル・リアリティ」だ。

2012年を通過して、確か10年ほどすると、徐々に、このパラレル・リアリティにわたしたちは、入り込んでいくという。バシャールによると、パラレル・リアリティには「ネガティブの国」「ポジティブの国」のふたつがあるという(実際は、もっと多様な世界が多数あるのだと思われるが)。このどっちの世界に行くかによって、わたしたちの体験はまったく異なる。ポジティブの国では、まわりはすべてポジティブなひとばかりで、体験もポジティブなものばかり。ネガティブの国では、まわりはすべてネガティブなひとたちばかりで、ネガティブな体験をどっさりできる(行きたくないー・・・)。そしてポジティブの国のひとびとはどう思っているかというと、『あれ〜、いつのまに、ネガティブなひとはいなくなっちゃったよ。どこ行ったんだろう?』と。つまり、そのふたつの世界の間ではコミュニケーションがまったく断絶している。

これは、リサ・ランドールの「ワープする宇宙」「異次元は存在する」(※翻訳版書籍発売になりました。推薦)にも同じような考えが述べられている。5次元の膜上の複数世界(パラレル・リアリティ)は、その世界同士ではまったくコミュニケーションはとれない。誰も皆、自分の世界しかない、と認識している。

世界がこうした「多重リアリティ」の構造のなかにあるとしても、あるひとりのひとの意識からすると、「結局、認識できないものは、ないと同じ」「この次元で十全に生きるだけ」という見方もそれはそれで正しいような気もするが、しかしそれでもなお、ヒトはとことん、世界を認識したいのだ。

少し前に、本田健さんと食事する機会があって、そのとき「いま米国の大学の先生と幸福について研究している」とおっしゃっていた。幸せの研究はめっぽう面白いと思う。ではこの、私たちの未来の「パラレル・リアリティの幸せ」はどうなのか、興味をそそられるところだ。パラレルなリアリティを知った方が幸せなのか、知らない方が幸せなのか、はたまたそんなことは幸せには関係ないのか。自分と同じような人物、または同じ人物が、別の次元で別のリアリティを体験している、ということは、この次元でいま体験しているリアリティ、「現実」と呼ばれるものが、なんだかもっとグニュグニュしており、ソリッドなものではない、という認識が引き出されることを意味する。現実、というもののタガがはずれ、リアリティのメルトダウンが起こる、もしれない。アナーキーな世界認識におちいるひともでるだろう。私はこの美人のランドール博士のおっしゃる、すでに数学的には証明された、多重なリアリティをもつ5次元が近い将来、私たちの認知に深い衝撃を与えるであろうと信じる者ですが、それでもなお、ヒトの幸せはそういう「深い認知」とは別の、きわめて皮相な日常的な生活的な感覚の方に、より存在するのではないか、という気も少し、する。

脳内メーカー」というの名前のジョーク・サイト、占いサイトみたいなものがあって、いま流行っている (http://maker.usoko.net/nounai/ 制作者は占いではないと主張)。ひとの脳内マップを一文字の羅列で表示する。私の実名でやってみたら、ぜーんぶ「食食食食・・・・」だった。ゲゲゲ、おれは喰うことしか考えていなかったのか・・・。すげー面白かったので、これでもかと、ありとあらゆるひとの名前を入力してみた。「金金金金金・・・」という身近なひともいたり、はたまた怪しげな脳内も。どういうロジックで動いてるんだか知らないが、これが、なんかちょっと納得させるものがあるから不思議なのだ。なんでいきなり脳内メーカーかというと、ひとの幸せは、こうした爬虫類の脳的なものに激しく依存するんじゃないかと思ったから。

「パラレル・リアリティを知ったとたん、どえりゃー深い幸福感を味わいましたわー」というひとがいたらお会いして、きわめて未来的なそのひとの幸せ感を深く研究したいと思います・・・。

喜多見 龍一


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